【不動産登記 基礎知識 No.9】不動産相続登記の記事

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不動産相続登記の義務化の背景について

日本の不動産登記制度は、フランス法を基にした「対抗要件」という考え方を採用しています。これは、不動産の売買などの権利変動は、当事者間の契約で成立するものの、第三者に対して権利を主張するためには、登記が必要というものです。一方、ドイツや韓国、台湾などの国々では、「成立要件」として登記が必要とされています。これは、登記を行わないと権利の変動が成立しないという考え方です。

日本の場合、不動産売買においては、所有権移転登記をしないと、第三者に対して権利を主張することができないため、売買当事者は登記を行う動機が強くなります。

(不動産売買の場合、所有権移転登記をしないと、買主は、第三者の名義に登記されてしまうなどのおそれがある一方、売主も固定資産税の納税義務を負わなければならない。そのため、売買当事者は、いずれも登記を申請しようとする気持ちが働く。)

しかし、相続の場合は異なります。相続は契約ではなく、所有者の死亡という事実によって発生するため、登記をしなくても権利が失われることはありません。このため、相続による所有権移転の登記を申請しないケースが増え、結果として所有者不明の土地や建物が増加してしまう問題が生じています。

このような背景から、相続登記の義務化が議論され、実際に義務化されることとなったのです。相続登記の義務化により、所有者不明の土地や建物の問題を解消し、不動産の正確な権利関係を明確にすることが期待されています。

不動産相続登記の義務化は、私たちの生活に密接に関わる重要なテーマです。正確な権利関係の確保は、不動産取引の安全性を高めるだけでなく、社会全体の信頼性をも高めるものと言えるでしょう。

以上、不動産登記と相続登記の義務化の背景を簡潔にお伝えしました。相続登記の義務化の背景を理解し、その重要性を認識することで、多くの方が相続登記を進めることを期待しています。これにより、所有者不明の土地や建物の問題が減少し、より安全な不動産取引が実現されることを願っています。

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