遺言書がある場合の相続登記手続きは?
遺言書がある場合の相続登記手続きは?
遺言書がある場合の相続登記手続きは、亡くなった方の遺言の内容に基づいて不動産の名義変更をする手続きです。亡くなった方の意思に基づいて財産の分配が行われ、それを登記に反映させます。遺言書による意思が、法定相続分に基づく分配よりも優先されるからです。よって、まず相続登記をする際には、遺言書があるかないかを確認する必要があります。
日本の法律では、遺言には主に3種類あります。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言です。公証人の関与が必要なものが、公正証書遺言と秘密証書遺言です。日本で一般的に利用されているのが、自筆証書遺言と公正証書遺言でしょう。まず遺言書を探し、遺言書が自筆証書遺言で、法務局へ保管する遺言書保管制度を使っていない場合は、家庭裁判所の検認が必要です。
<民法第1004条>
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
また、家庭裁判所外において遺言書の開封をしたら、5万円以下の過料(罰金のようなもの)が課せられる可能性があります。
<民法第1005条>
前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
遺言書がある場合の相続登記手続きのメリットは、遺産分割協議が不要になる点です。つまり、相続人間での意見の相違や争いが発生する可能性が低くなります。また、提出書類も随分と少なくてすむ点です。提出書類の中でも戸籍に関して言えば、遺言書のない相続登記手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍が必要なのに対し、遺言書のある相続登記手続きでは、亡くなった方の死亡時の戸籍のみですむことが、大きなメリットと言えるでしょう。