【不動産登記 基礎知識 No.47】不動産相続登記の記事

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自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは?

相続登記手続きをするにあたって、遺言書があるかないかによって、手続きの煩雑さが異なってきます。また、遺言書があることによって、遺産分割協議が不要になり、相続人間での意見の相違や争いを防げる可能性が高くなります。また、提出書類も遺言書がある場合とない場合では、遺言書がある方が書類の準備をする手間が少なくてすみます。特に提出書類の中でも戸籍収集が大変なのですが、遺言書のない相続登記手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍が必要なのに対し、遺言書のある相続登記手続きでは、亡くなった方の死亡時の戸籍のみですむということが、非常に大きなメリットになります。

よって、生前に遺言書を書いておくことは生前対策としておすすめです。日本の法律では、遺言には主に3種類あります。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言です。公証人の関与が必要なものが、公正証書遺言と秘密証書遺言です。日本で一般的に利用されているのが、自筆証書遺言と公正証書遺言でしょう。今回は自筆証書遺言について見ていきましょう。

<民法第968条>

1 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

自筆証書遺言とは、遺言者が遺言の全文、日付、および署名を自分で書くことによって作成される遺言の形式です。自筆証書遺言は、法的な手続きや証人、公証人の立ち会いを必要とせず、遺言者本人が直接書くことができるため、比較的簡単に作成することが可能です。しかし、適切な形式で書かれていないと、遺言の効力に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

まず、全文を遺言者が自筆で書く必要があります。パソコンで打った文書では無効です。ただし、相続財産の目録を添付する場合には、その相続財産目録を自筆で書く必要はありません。

<民法第968条>

2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

次に、日付の記載ですが、西暦または和暦で年、月、日を明確に記載します。遺言書における日付は、その遺言書がいつ作成されたのかを示す重要な要素です。特に複数の遺言書が存在する場合には、どの遺言書が最新であるかを決定するのに、不可欠です。遺言者が生前に複数の遺言書を作成した場合、通常は最新の日付の遺言書が有効とされます。このため、各遺言書には正確な作成日を記載することが必須です。

最後に、氏名ですが、遺言書が誰の意思によって作成されたものかを明確にするために記載します。本人を特定するためにも、ペンネーム等ではなく、戸籍謄本や住民票等の公的な書類に記載されている名前と整合するように記載するのがいいでしょう。氏名を記載したら印鑑を押しましょう。遺言書に実印を使用することは法的に必須ではありませんが、後に遺言書の内容に関して争いになった場合には、実印を使用していることで、その遺言書が遺言者の意思によって確実に作成されたものであるという証明が容易になります。よってできれば実印で押しましょう。

このように自筆証書遺言はいつでも容易に作成でき、遺言の内容を他人に知られることもなく、プライバシーが高度に保護されるというメリットがあります。反面、内容についてのチェックがないということは、実際に遺言が執行される時に、大きな不安要素になってきます。遺言書作成の際には、専門家へのご相談をなさるのがよいでしょう。

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