【不動産登記 基礎知識 No.53】不動産相続登記の記事

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相続登記義務化について

相続登記義務化について

2024年4月1日に相続登記が義務化されました。法務省のホームページには、「相続登記の申請義務化に関するQ&A」が掲載されており、非常に分かり易い内容になっています。相続登記義務化に伴い、何十年も登記をせずにそのままにしているという方々が不安に思って相談に来られています。少しでも相続登記義務化について知って安心するために、このQ&Aからいくつかピックアップして紹介しましょう。

※相続登記の申請義務化に関するQ&Aは下記をご参照ください。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html

◆なぜ、相続登記が義務化されるのでしょうか。

不動産の所有者が亡くなったのに相続登記がされないことによって、登記簿を見ても所有者が分からない「所有者不明土地」が全国で増加し、周辺の環境悪化や民間取引・公共事業の阻害が生ずるなど、社会問題となっています。

また、これは増え続ける「空き家問題」についても同じことが言えます。空き家の発生原因の半分以上は相続と言われており、空き家が放置されるとすぐに劣化し、外壁材や屋根材の落下、家屋の倒壊等の保安上の危険、景観や治安の悪化、火災リスクの増加等の問題が生じます。こういった問題を解決するため、これまで任意だった相続登記が義務化されることになりました。

◆相続登記の義務化とは、どのような内容ですか。

相続によって土地や建物の不動産を取得した相続人は、取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になります。

 遺産分割協議(相続人間の話合い)で不動産を取得した場合も、取得した相続人は、遺産分割協議の成立から3年以内に、遺産分割の内容に応じた登記をする必要があります。

正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

◆いつまでに相続登記をすればいいですか。

不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をする必要があります。
 また、令和6年4月1日より前に相続した不動産で、相続登記がされていないものについては、令和9年3月31日までに相続登記をしなければなりません。

◆過料の対象となるのは、どのような場合ですか。

令和6年4月1日以降に不動産を相続で取得したことを知った場合、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をしない場合で、相続登記をしないことについて正当な理由がないときには、過料の対象となります。

 加えて、遺産分割によって不動産を取得した場合には、遺産分割の日から3年以内に、その結果に基づく登記をしない場合で、その登記をしないことについて正当な理由がない場合に、過料の適用対象となります。

令和6年4月1日以前に不動産を相続で取得したことを知った場合は、令和9年3月31日までに相続登記をしないと過料の対象になります。ただし、相続登記をしないことについて正当な理由がある場合は除きます。また、遺産分割によって不動産を取得した場合には、遺産分割の日から3年以内に、その結果に基づく登記をしない場合で、その登記をしないことについて正当な理由がない場合には、過料の適用対象となります。

◆相続登記を行わないことについての「正当な理由」とは何ですか。

相続登記の義務の履行期間内において、次の(1)から(5)までのような事情が認められる場合には、それをもって一般に「正当な理由」があると認められます。

 もっとも、これらに該当しない場合においても、個別の事案における具体的な事情に応じ、登記をしないことについて理由があり、その理由に正当性が認められる場合には、「正当な理由」があると認められます。

(1) 相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合

(2) 相続登記の義務に係る相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合

(3) 相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合

(4) 相続登記の義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合

(5) 相続登記の義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合

◆まとめ

相続登記義務化と言えば、「3年」と覚えておくのがよいでしょう。2024年4月1日より前のものですと、2027年3月31日までに登記を申請すればいいことになります。2024年4月1日以降ですと、相続が発生し、自分が相続により不動産の取得をしたと知った日から3年以内、加えて遺産分割協議で取得した場合は遺産分割の日から3年以内に登記を申請することになります。

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