自筆証書遺言書保管制度とは?
自筆証書遺言書保管制度とは?
相続登記手続きをするにあたって、生前に遺言書を書いておくことは非常に有益です。日本の法律では、遺言には主に3種類あります。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言です。中でも、自筆証書遺言はいつでも容易に作成でき、遺言の内容を他人に知られることもなく、プライバシーが高度に保護されるというメリットがあります。
反面、民法に定められた通りの要件を満たしていないと、せっかく書いた遺言が無効になってしまう恐れもあります。また、遺言書が紛失してしまったり、忘れ去られたりしてしまう、あるいは、遺言書が勝手に捨てられたり、書き換えられたりなど、保管の問題点もあります。さらに、遺言者が亡くなった後、家庭裁判所での検認の手続きが必要になるのも自筆証書遺言のデメリットと言えるでしょう。
こういった、自筆証書遺言の問題点やデメリットを補ってくれる制度が「自筆証書遺言書保管制度」になります。これは、読んで字のごとく、自筆証書遺言書を法務局で保管してくれる制度です。すべての法務局で扱っているわけではなく、この制度が利用できる遺言書保管所に指定されている全国312か所の法務局で利用できます。
どこの遺言書保管所を利用するかは、管轄がありますのでそれを確認して、保管の申請をする必要があります。①遺言者の住所地、②遺言者の本籍地、③遺言者の所有する不動産の所在地の3つのいずれかを担当する遺言書保管所を選んで、遺言書の保管の申請をします。
どこの保管所にするか決めたら、予約をします。予約した日時までに、遺言書と保管申請書を準備します。遺言書は、必ず民法に定められた通りの形式を守って作成する必要があります。遺言書保管所では、遺言書の形式面をチェックしてくれます。(遺言書の内容まではチェックしてくれませんので、ご不安のある方は、事前に専門家に相談されるといいでしょう。)
<民法第968条>
1 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
遺言者は遺言の全文、日付、および署名を自分で書き、印を押します。また、相続財産の目録を添付する場合には、その相続財産目録を自筆で書く必要はありませんが、自筆で書かなかった目録については、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければなりません。
保管申請書については、下記のページよりダウンロードできます。
https://www.moj.go.jp/MINJI/06.html
予約した日時に、3か月以内の住民票の写し(本籍と筆頭者の記載があり、マイナンバーや住民票コードの記載のないもの)と、顔写真付きの官公署から発行された身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート等)を持って、遺言書保管所に、遺言書と保管申請書を提出します。また、手数料として遺言書1通につき3,900円がかかりますが、これは収入印紙にて納付します。遺言書保管所に収入印紙の販売窓口あるので、そこで準備してもいいですし、郵便局でも販売しているので、そこで購入して保管所に持って行ってもいいです。
保管所において遺言書の形式面のチェックが終わったら、遺言者の氏名、出生の年月日、遺言書保管所の名称、そして、保管番号が記載された保管証をもらいます。保管申請後にする手続きの際に、この保管証記載の保管番号があると便利ですので、大切に保管しておきます。家族にこの遺言書の存在を知らせておくのに、保管証を利用するのもいいでしょう。