【不動産登記 基礎知識 No.80】不動産相続登記の記事

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公正証書遺言のメリットとは?

公証人が関与する公正証書遺言ですが、自筆証書遺言に比べて費用はかかるものの、メリットもかなりあります。公正証書遺言特有のメリットについて見ていきましょう。

1.遺言当時の意思確認がきちんとなされたと主張しやすい。

公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思を確認し、公証人の面前で作成されますから、後に遺言書をめぐってトラブルになることを避けることができます。つまり、遺言書の内容に不満のある相続人等が、遺言者が遺言書を書いたとき、認知症であった等、その遺言は無効であると主張する場合に、公正証書遺言であれば、公証人が意思確認を行っており、さらに証人2人がいるわけですので、その遺言の有効性は高いとされやすいです。

2.公証人が出張してくれる。

公正証書遺言は、公証役場以外でも作成することが認められています。よって、遺言者が高齢であるとか、病気である等の理由で、公証役場に出向くことが難しい場合には、公証人が、遺言者の自宅や老人ホーム、病院等に出張して、公正証書遺言を作成してくれます。

3.遺言者が遺言を手書きする必要がない。

自筆証書遺言は、遺言者が遺言の全文を自分で書かなければならないため、遺言書の内容が長かったり、複雑なものであったりすると、書く負担というのが非常に大きいものになります。これに対し、公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思を確認し、その内容を文章にして作成してくれるので、遺言の内容さえしっかりと伝えることができれば、自分ですべて書くという負担なく、安心して遺言書をのこすことができます。

また、公正証書遺言において、遺言者は署名する必要がありますが、その署名さえ難しい場合、公証人が代替措置を取ることができますので、病気等の理由で署名ができなくても、心配せず遺言書をのこすことができます。

以上の3点が公正証書遺言特有のメリットになります。その他に2点メリットがありますが、これは自筆証書遺言保管制度でも同様のメリットとなります。

1.家庭裁判所での検認手続きが不要である。

遺言者が亡くなると、遺言の内容を実現するために、何よりも最初に、遺言書の検認手続きを家庭裁判所で行わなければなりません。検認期日には、出席した相続人等の立会のもと,裁判官は、封がされた遺言書については開封の上、遺言書を検認します。「検認」とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です(裁判所ホームページより)。公正証書遺言で遺言をのこしておくと、この検認の手続きが不要なため、遺言書が亡くなるとすぐに遺言の内容を実現することができます。

2.遺言書原本が保管される。

公正証書遺言は公証役場にて、原本が保管されます。よって、紛失のリスクはなく、遺言書が破棄、隠蔽されたり、改ざんされたりすることがありません。

このように、遺言をのこす場合に、公正証書遺言によることは、自筆証書遺言に比べて、メリットがかなりあります。特に高齢であったり、病気であったりする場合には、公正証書遺言によって、遺言をのこすのがいいでしょう。

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