旧姓での登記について
旧姓で不動産登記ができるのかについて、高市早苗氏と小泉進次郎氏の発言が注目されました。旧姓での不動産登記はできますが、あくまでも現在の姓と併記する形で登記できるわけで、旧姓のみで登記することはできません。
令和6年4月1日より、これまで現在の姓でしか登記ができなかったところ、併記という形で旧姓も登記できるようになりました。登記記録には、所有者として現在の氏名で登記された後に、かっこ書きで、旧姓の氏名が登記されます。併記される旧姓の位置づけとしては、登記名義人の氏名を補足する事項となっています。
旧姓を登記できるのは、現在の所有権の登記名義人だけで、過去に登記名義人であった方は対象外となります。また、住宅ローンを組んだ場合、抵当権が設定されますが、その際の、債務者の氏名について、旧姓を併記することはできません。なお、日本国籍でない方については、たとえ現在の所有権の登記名義人であっても、旧姓を併記することはできません。
併記できる旧姓は1つに限定されており、複数の旧姓を併記することはできません。不動産の名義変更である、所有権移転登記申請をするに伴って、旧姓の併記を申し出る場合を考えてみましょう。例えば、氏名が、「山田太郎」→「佐藤太郎」→「高橋太郎」と変更になっている方がいるとしましょう。現在の氏名が「高橋太郎」ですので、この「高橋太郎」に併記できる旧姓は、「山田」でも「佐藤」でも可能です。よって登記記録には、「高橋太郎(山田太郎)」もしくは、「高橋太郎(佐藤太郎)」になります。
この旧姓の併記を申し出る場合には、所有権の登記名義人となる方の旧姓が記載された戸籍の謄抄本もしくは除籍謄抄本等を登記所に提供する必要があります。
実は、近年日本では、旧姓を併記できるようになっている身近なものとして、運転免許証、印鑑証明書、マイナンバーカード、住民票があります。総務省のホームページには、「社会において旧姓を使用しながら活動する女性が増加している中、様々な活動の場面で旧姓を使用しやすくなるように」併記できるようにしたとの記載があります。不動産登記においても、そういった流れを踏まえて、旧姓を併記できるようになったのでしょう。