【不動産登記 基礎知識 No.104】不動産相続登記の記事

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相続放棄の決断をするには?

相続が起こった時に、被相続人(亡くなった人)に借金があった場合、相続放棄をしようかと悩むでしょう。相続放棄をすると、相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったことになります。よって、マイナスの財産である借金も相続することはありませんし、不動産や預貯金等のプラスの財産も相続することはありません。相続放棄は、亡くなった方の財産が借金などでマイナスである場合や、相続することでトラブルが予想される場合などに行われることが一般的です。

相続放棄をするべきかどうか、大変悩む場合というのは、マイナスの財産とプラスの財産との両方がある場合です。例えば、父、母、子供2人の4人家族があるとしましょう。父と母が住んでいる自宅の不動産が父所有で父名義の登記が入っています。この場合に、父が亡くなりました。父は借金もしていました。この場合、現在自宅に住んでいる母としては、借金があるからという理由だけで、相続放棄をすることには躊躇します。相続放棄をすると、自宅も手放して、出て行かなければならなくなるからです。

この場合どうしたらいいのでしょうか。まずは、借金の調査をすることです。信用情報機関である、全国銀行協会、CIC、JICCに開示請求をします。各機関のホームページを見ると、開示請求の仕方が記載されていますので、手数料はかかりますが、請求してみましょう。それから、被相続人宛ての郵便物を確認する方法です。郵便物の中身を見て、借金がないか確認してみましょう。また、被相続人の残している資料もあわせて確認してみることです。

借金の概要が分かったら、相続放棄をすることで、借金を免れる一方、自宅も相続できないほうを選ぶか、相続放棄はせず借金を払う一方、自宅は相続できるほうを選ぶか検討します。なお、借金は、分割払いにしてもらうよう債権者(貸している側)と交渉することができます。自宅を出て行くことは容易ではありません。負担はありますが、毎月の返済を分割払いにしてもらい、自宅を相続するほうがいい場合もあるでしょう。こうして自宅を相続することになれば、相続登記をしましょう。

相続放棄をすると決断した場合には、被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申立てを行いましょう。3ヶ月以内に申立てができそうになければ、相続の承認または放棄の期間伸長の申立てを行っておくことをお勧めします。

先ほどの例で、子供が相続放棄をし、母が相続をした場合、相続登記においては、相続放棄申述受理通知書もしくは相続放棄申述受理証明書を添付して登記申請をします。相続放棄をするかどうかの決断は容易ではありませんし、決断をしなければならない時間も3ヶ月という短い時間に限られています。焦って決断をせず、期間伸長の申立てを行って、熟考した上で、決断するようにしましょう。

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